南海放送60年史
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96第6節 ラジオの未来予想ラジオは国策への的確な対応を模索  ラジオの将来像を語る時、よく言われていたのが、「イギリスのようにいつか日本もデジタルラジオに移行するべき」という意見だった。 地上デジタルテレビ放送への移行時に発生したアナログテレビの“跡地”(V-high及びV-Low帯域)で、新しいマルチメディア放送をスタートさせようという動きは早くからあった。この内、ラジオに関わるV-Low帯域の活用については2010年に入ってから構想が具体化されてきた。 特に総務省は、2010年の年明け早々に、有識者によって構成された委員会=「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会(通称・ラジオ研究会)」を立ち上げた。南海放送も第5回会合に招請され、田中和彦ラジオ局長がローカル民放のラジオ経営の現状とそれに端を発した四国4局共同制作、今後の連携の狙いなどについて発表した。 後にまとめられたこのラジオ研究会の報告書は、まず「ラジオ論」としてラジオの弱さについて、「受信環境や送信設備などの費用問題」「若者のラジオ離れ」「メディア価値の構造的低下」などを記述し、そのうえで“情報の地産地消”や“災害時の実績”などに言及している。 この時の分析が、2011年3月の東日本大震災に於いて実証されることになる。 V-Lowラジオ構想  V-Low帯によるデジタルラジオの実現には多くの問題が第6節 ラジオの未来予想

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