南海放送50年史
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る移動衛星であったため、中継時間は10分余りであったが、翌年7月、静止衛星シンコム3号の打ち上げによって長時間中継が可能となった。世界の国々を衛星中継で結ぶテレビ新時代の幕開けである。1964(昭和39)年10月10日、戦後日本の復興を世界に示す東京オリンピック大会が開幕した。放送界は総力を挙げて開会式、大会競技の中継に取り組んだ。わが社も放送会館に移転の際、東京オリンピック開幕を視野に入れて、テレビ主調整卓にカラー・スイッチャーなどの新しい設備を組み込んでいた。カラー放送にはマイクロウエーブの高規格化が必要だったが、東日本ループ(東京-名古屋-大阪-金沢-東京)、北日本ループ(東京-仙台-札幌)に続き西日本ループ(大阪-広島-福岡-熊本-松山)が完成し、10月1日からの放送にそなえることができた。9月28日午前11時20分から試験的に日本テレビの『ロンパールーム』がカラーで送られてきた。モニターに映った色彩は予期した以上の鮮やかさだった。東京オリンピック大会の競技中継映像はNHKがテレビ放送権を一括獲得し、アメリカ、ヨーロッパの12か国に衛星中継された。日本テレビ系列では、午後1時から『東京オリンピック大会開会式中継』を特別編成し、午後4時30分までの3時間半を3部構成で放送した。第1部では朝を迎えたオリンピック村の風景、聖火などを紹介し、第2部はカラーで国立競技場での開会式を生中継した。第3部では司会に坂本九を起用、アイドホールの大画面を見ながら徳川夢声、イーデス・ハンソン、田辺靖雄らが感動を語り合った。さらに午後10時45分からは62第2章 大いなる飛躍へ東京オリンピック日本選手団入場行進(写真提供:共同通信社)東京オリンピック日本選手団入場行進(写真提供:共同通信社)

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