した。この年末、大都市での地上波デジタル放送の開始、2006(平成18)年のローカル局のデジタル化、2008(平成20)年の免許更新、2011(平成23)年のアナログ放送の停止など、大きな節目を乗り越え、10年先を見通した長期計画が必要との経営判断によるものであった。長期経営計画は1999(平成11)年10月からの5ヵ年計画、それをスライドさせた2002(平成14)年1月からの新5ヵ年計画、そしてデジタル化終了後の放送界を見据えた10ヵ年計画策定へと引き継がれた。毎年度初めに策定している業務計画は、半期ごとの見直しをしてきた。1年先を正確に見通すことが難しくなったための処置である。こうした激しい経営環境の変化のなかで、10年先を見通す経営計画の策定は非常に困難ではあった。適格年金制度の幹事社である住友信託銀行をコンサルタント役として、経営戦略局が経営計画の策定の作業に入った。当初は50億円とも考えられたデジタル投資の資金計画、2006(平成18)年のデジタル放送開始までの設備整備計画、デジタル放送の編成、番組、そして人材の育成など、解決しなければならない課題は多かった。2004(平成16)年4月1日、4年振りに新入社員を迎えた入社式、業務開始式で松友社長が「10ヵ年の経営ビジョン」の概要を以下のように説明した。「デジタル投資による赤字期間をできるだけ短縮するため、資産の売却や人件費の切り下げもあり得る。収入の確保と経費の削減に全力をあげて、努力してほしい。また本町会館をデジタル放送の拠点として整備し、新放送センターへの転換をはかりたい」。1.地域への貢献視聴者とのコミュニケーション、双方向性によってラジ「10ヵ年の経営ビジョン」の概要296第7章 地上波デジタル時代へ
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