南海放送50年史
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もう一つ、さし迫った課題があった。中継局への番組マイクロネットに関する技術基準が改定されたことである。現在、宇和島中継局には久万町直瀬から82キロメートルの長距離のマイクロルートでテレビジョン番組が伝送されているが、新しい技術基準では基本的に1区間50キロメートル程度のマイクロルートと規定された。また、八幡浜中継局も、松山から放送波を65キロメートルの海上伝播で中継しているため、ルートの見直しが必要であった。放送技術本部技術部は、南予地域への新しいマイクロ中継基地となる地点について現地調査を行った。その結果、伊予郡双海町と喜多郡長浜町の境にある壺神山(標高970メートル)が最適地として選定された。壺神という神秘的な名前を持ち、伊予灘を一望の下におさめるこの山は、松本清張の長編推理小説『火の路』のクライマックス・シーンに登場する。この地点からは中予の久万、中山、美川、南予の宇和島、八幡浜、野村、城川、大洲など主な中継局が見通すことができる。電波伝搬実験の結果も良好であった。また、緊急事態発生時におけるNNN系列ヘリコプター中継基地としても広域に利用できることから、ここに鉄塔建設を決定した。用地取得交渉を開始してのち、電源開発株式会社から共同で壺神山の鉄塔建設を行いたいとの申し出を受けた。用地については南海放送が買収し、土地の造成と鉄塔工事関係費は、南海放送、電源開発が7:3の比率で負担すること、また、局舎は、それぞれが建設することになった。建設工事はNECシステム建設、全体のとりまとめを南海放送が行うことで共同建設が決定した。2002(平成14)年1月、造成工事を開始、同年12月、地上高50メートルの鉄塔と鉄筋コンクリート1階建196平方メートルの局舎が完成した。引き続き、自動追尾機能をもつFPU受信基地設備工事が翌年2月に完成した。同月17日、川之江市の高知自動車道トンネル内で居眠りト壺神山に中継塔建設277第1節 地上デジタル放送の幕開け壺神山の鉄塔(山頂向かって右側)

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