第7章 地上波デジタル時代へ2003(平成15)年12月1日、地上波デジタルテレビ放送が関東、中京、近畿の広域サービスエリア圏で本放送を開始した。日本のテレビジョン放送が誕生して50年目、アナログ放送からデジタル放送への転換である。「見るテレビ」から「使うテレビ」への進化、さらにインターネットへの接続など、“総合情報端末”となる地上デジタル放送時代の幕開けである。地上デジタル放送は、高品質の映像・音声・マルチ編成、携帯端末向けの放送、データ放送などの新しい機能と衛星放送にない地域密着型という特性を持つ。大画面のテレビ受信機、放送関係設備だけでも今後10年間で40兆円、関連産業を含めて経済的波及効果は212兆円にも上るとされ、景気回復のトップランナーとして期待されている。しかし、デジタル放送への転換のための設備投資は、地方局でも平均45億円~50億円と試算されている。経営基盤が小さく、広告費の地域投下量が減少し、民放4局の競合も激しい。ケーブルテレビの普及、ブロードバンド通信網による番組ソフトの流通も急速に進んでいる。地方局には過去に経験のない大きな試練の時が迫った。1998(平成10)年12月、郵政省から「地上デジタル放送の周波数使用計画素案」が公表された。これをうけて翌年9月、放送事業者代表及び郵政省幹部による「地上デジタル放送に関する共同検討委員会」が発足、その下に「チャンネル検討部会」、「経費調査検討部会」、「実施新しいテレビの登場第1節地上デジタル放送の幕開け272店頭のデジタル対応テレビ受像機
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