「大転換期を迎えた民放ローカル局の経営」。1998(平成10)年10月、福井市で開催された第46回民放大会は、民放地方局の危機感にれた行事となった。1996(平成8)年10月には、通信衛星によるデジタル放送「パーフェクTV!」がサービスを開始していた。また、世界のメディア制覇を狙うR. マードック氏が「JスカイB」構想とともに旺文社が所有するテレビ朝日の株式を取得したと発表し、放送業界に衝撃を与えた。郵政省の「放送高度化ビジョン」によれば、地上波テレビもアナログからデジタルへ放送方式を転換することにより、高画質・高音質の映像が視聴できるほか、双方向・データ通信などの多機能を持つ。さらに、2000年頃に打ち上げを予定している放送衛星BS4-b(後継機)は、デジタル放送方式となることが明らかにされた。福井市における民放大会において氏家民放連会長は、「BSデジタル放送に続き、地上波放送のデジタル化導入計画が明らかにされた。地上波のデジタル化は莫大な設備投資を必要とするものであり、民放経営をゆるがす重大な問題であるとの認識を深めるに至った」と強調した。続く記念シンポジウムでは、郵政省官房専門調査官・平井正夫氏が「デジタル化時代は豊富な技術資源をどのように使うかで、優勝劣敗が決まる『嵐のなかのチャンスの時代』だ」と述べた。これに対してテレビ新潟放送網の北川社長は、「わが社の経常利益の15%(9,500万円)をデジタル化設備に充てるとすれば、減価償却が終わるのに34年かかる計算になる。2010年にはBSデジタル放送の視聴シェアが30%に達すると予測され、地上波をふくむ広告マーケットの変化は避けられない」と、経営への影響を懸念した。この時期、民放準キー局社長の次の発言も注目されていた。「キー局がCS、BSに参入しても地上波放送がなくなることはない。だが、今の形のまま残るかどうかは分からない。私としては1県4局体制は成り立ちにくいだろうと思う。4231第1節 地方局、冬の時代へ第46回民間放送全国大会(福井)
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