るなど若干の被害があったが、放送設備の事故には至らなかったのは幸いであった。芸予地震でも数々の災害報道の課題が浮き彫りになった。災害情報、安否情報をいかに早く入手するか、通信手段の確保が初動の鍵を握ることが痛感された。芸予地震を教訓に、報道フロアに災害時優先電話が増設され無線機3台も常にスタンバイ状態にした。また、地震発生時の揺れを録画するスキップバックレコーダーは発注済だったが、芸予地震では間に合わなかった。災害発生時にそなえて、県防災対策本部、県警、消防、交通機関などとの無線連絡体制の整備の必要を再確認した。「南海地震は、今後50年以内に80%の確率で発生するとされているが、忘れてならないのは、南海地震は、明日起こっても不思議ではないということである。引き続き、災害報道体制の充実に力を入れていきたい」と兵頭英夫デスクは語っている。なお、南海放送は芸予地震の被災者支援のために、前年の『24時間テレビ』の募金から500万円を愛媛県に贈呈した。1997(平成9)年7月29日、指名手配されていた福田和子容疑者が、福井市内で逮捕された。元同僚ホステスを、1982(昭和57)年8月に殺害した容疑である。逃亡生活14年11か月余り、時効まで21日を残しての逮捕だった。29日18時19分、デスクの秋川啓人に、「ホステス殺人事件の関係者が福井警察署に呼ばれたようだ」と、福井放送の足立デスクから電話が入った。関係者といえば福田和子容疑者しかいない。時効を前に、既に“時効成立”と“逮捕”両方の予定稿もできていた。警察担当の木原悟、桐本尚が裏づけを取りに走った。夕方のニュースには、間に合わなかったが、19時12分、プロ野球福田和子容疑者 時効寸前逮捕223第3節 あいつぐ自然災害
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