南海放送50年史
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情報のグローバル化が急速に進む中で、深夜の空白時間をそのままにすることはニュース報道の立ち後れにつながる。わが社の報道部は系列への積極的な参加がローカルニュースの活性化に役立つとして、早くから『NNN24』へのニュース素材の提供に力を入れてきたが、通信衛星の番組ネットにはいくつかの問題点があった。衛星は集中豪雨などの悪天候に弱い。正規の番組編成となると、受信状態不良による放送中断という不測の事態が起きた場合のフェイルセーフ対策が必要となる。監督官庁に対しては事故報告の義務が生じる。放送監視のための要員も確保しなければならなかった。ためらっているところに情報がもたらされた。郵政省放送行政局は「放送番組は放送の終了を示すクロージングをもって終わり、放送時間終了後のフィラーについては放送事項別の放送時間にカウントしない」との見解であると言う。『NNN24』は正規の番組ではなく、フィラー(番組と番組のあいだの埋め草)として認められるとの判断である。広島テレビ、讀賣テレビ、中京テレビは「番組」、テレビ岩手、テレビ新潟、高知放送は「フィラー」として扱うなどそれぞれに対応が分かれたが、わが社も当分のあいだはフィラーとして受信状況を見守ることとし、翌年4月から正式に編成番組とすることを決めた。日本テレビ系列では7番目の『NNN24』ネット局となり、ラジオに続きテレビも24時間の放送体制ができあがった。視聴率も深夜時間帯の番組としては悪くない。30分を1単位としてニュースを編集し、新しいニュースを加えながらループ状に続ける。午前2時半から午前5時までの深夜の視聴率はときに3%前後、午前5時から5時半までの早朝の時間帯では4%を超えることがある。讀賣テレビ、中京テレビ、福岡放送、札幌テレビのローカルニュースの一部が再放送されるなど、地方色も楽しめる。愛媛の民放テレビ4局の中で、南海放送は唯一24時間放送体制をとっており、他局にない放送サービスとして視聴者の好評を得ることになった。218第5章 民放4局化時代『NNN24』を受信するアンテナ

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