南海放送50年史
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1995(平成7)年3月20日の朝8時過ぎ、通勤客で混み合う東京の営団地下鉄の3つの線と5本の電車の中で、猛毒ガスのサリンが撒かれ、乗客、駅員12人が死亡、重軽傷者は5,500人に上った。無差別殺人を狙った空前のテロ、「地下鉄サリン事件」である。報道部デスク前に並んだ民放、NHKのテレビの画面が生活情報番組から突然、緊急の生中継に切り替わった。慌ただしい映像が異常事態の発生を告げていた。わが社はこの時、日本テレビの『ルックルックこんにちは』を第2マイクロネットの1時間遅れで放送していたが、午前9時56分、生中継の本マイクロに切り替えた。テレビの映像は地下鉄霞ヶ関駅入り口近くの路上で手当てをうける被害者、東京消防庁隊員らによる救助活動を伝えた。午前10時30分から11時25分までの『NNN緊急報道特番』、夕方の『なんかいNEWS530』は17時から繰り上げて東京の地下鉄で起きた恐怖の大事件を報道した。地下鉄の駅で倒れた人、車内にうずくまり助けを求める人びと…夜11時54分からの『きょうの出来事』も30分、放送時間枠を拡大して東京の地下鉄で同時多発した無差別殺人事件の真相を追った。地下鉄サリン事件の前後にも新興宗教オウム真理教が関与していると疑われる事件が続いていた。この前年(1994年)6月27日の夜、「松本サリン事件」が起きた。長野県松本市内で大勢の人びとが激しい吐き気などの症状を訴えて、病院に運ばれた。この事件では信州大学の学生など7人が死亡し、重軽傷者は144人にも上った。事件発生から1週間後、長野県警は原因物質を猛毒ガスを地下鉄サリン事件の衝撃213第3節 あいつぐ自然災害地下鉄サリン事件(写真提供:共同通信社)搬送される被害者

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