南海放送50年史
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募金額は3月1日までに1,264万4,323円に達し、これを日本赤十字愛媛県支部、愛媛共同募金会の「兵庫県南部地震義援金」に託した。ニュース報道は地域におけるライフラインの見直しを取り上げた。松山市消防局は「地震発生時における都市機能の恐ろしさは火災にあることを確認した」と語ったが、松山市の消火栓はすべて上水道配管上に設置されており、同市で耐震性を持つ上水道の配管は1,400メートル、総延長のわずか1%に過ぎないことがわかった。地下埋め込みの防火水槽は、40トン規模で約260か所を数えるが、耐震設計の防火水槽は50トンと100トンの水槽が2基だけ。これらを総合した松山市の消防水利の充足率は通常火災で80%、今回の神戸市のような同時多発の火災には対応できないレベルにあることが指摘された。阪神・淡路大震災は想像を超える大被害をもたらし、防災対策、災害発生時の応急対策、報道機関としての責任と役割について大きな教訓と課題を残した。日本列島には紀伊半島から四国、九州を横断する全長1千キロメートルの中央構造線と呼ばれる大断層がある。伊予灘、日向灘一帯は中央構造線に並行、斜行する活断層が多く、地震多発の危険地帯だ。台風などの自然災害も少なくない。わが社は1963(昭和38)年に「緊急事態対策要綱」を制定し、これを数度にわたり改定してきた。しかし、阪神・淡路大震災の体験から、災害発生にそなえて放送設備の保全、組織的な放送体制などについて、なお再点検が必要であった。1995(平成7)年3月7日、総合企画局、総務局、放送業務本部(テレビ局、ラジオ局)、報道制作本部、放送技術局の関係者25名が出席して「緊急事態対策要綱」検討会が開かれ、NNN報道実務者会議における讀賣テレビ他の報告、意見が交「緊急事態対策要綱」見直し211第3節 あいつぐ自然災害

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