南海放送50年史
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2月2日には制作技術部副部長白石弘一、制作技術部員冨永哲史、同鶴田彰一、同津田敦彦の4名を神戸市のNNN災害報道取材班の生中継番組クルーとして派遣し、報道部員木原悟を淡路島北淡町に送るなど、6班9名が系列取材応援に参加した。北淡町の中心部富島地区は、家という家が跡形もないほど崩れ落ちていた。小倉記者は惨禍の中で復興へ前向きに生きる人びとの姿に励まされる思いだったが、愛媛で大地震が起きた場合、どのように対処すべきかを常に留意する必要があることを切実に感じたという。大震災によって多数の人びとが住む家を失い、ライフラインのすべてが絶たれた。木原記者もまた「地元のある局は被災者が何を必要としているかを考え、それを伝える努力をしていた。しかし、現地からのテレビ報道のほとんどは、第三者の立場で地震の恐ろしさや被害の大きさだけをリポートする姿勢に終始しているように感じられた」と、従来型の報道姿勢を反省している。報道体制の不備についても、問題点が少なくなかった。NNN報道局長会議に出席した報道制作本部副本部長香川邦夫は、災害などの緊急時には特に通信手段の確保が必要であり、無線装置の整備に留意する必要があるとの意見が多かったことを報告している。一方、わが社は被災者救援活動の呼びかけを積極的に行った。南海放送ラジオ(Nancy16)は1月20日から31日まで、「被災地へラジオを送ろう」キャンペーンを展開した。「電池で聞ける小型のラジオがあれば、新しい電池を添えて寄付してください」と呼びかけたところ、リスナーからすばやい反応があった。CD付きラジカセ、ポケットラジオ、懐中電灯と一体型の非常時用ラジオなど、さまざまなラジオが集まった。さっそく愛媛県の協力を得て、177台のラジオを現地の災害対策本部に届けた。また、本社、本町会館、サンパークの受付けに被災地へ贈る義援金募金箱を置き、伊予銀行、愛媛銀行、愛媛信用金庫に振込口座をもうけて、ラジオ、テレビで募金を呼びかけた。210第5章 民放4局化時代

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