南海放送50年史
205/358

してきたことの一つは、視聴者からの声を番組の中にできるだけ盛り込むことであった。番組の後半にプレゼントの抽選コーナーを設け、葉書での応募を呼びかけた。これらの視聴者からの応募葉書には、番組の感想や激励が書き添えられていることが少なくない。ふるさとで過ごした子ども時代の幸せな日々の思い出。愛媛に移り住んだ人からは「地域の文化・歴史にふれて、この町が大好きになりました」との言葉が寄せられた。永江、野志キャスターがこれらの葉書を番組進行中にタイミングよく紹介する。FAXでは番組放送中にダイレクトに視聴者からの反響が返ってきた。2000年代に入ってインターネットでのメールが多くなり、視聴者と番組との結びつきはこれまで以上にダイレクトに、そして強くなった。視聴者からの情報でいくつもの貴重な出会いがあった。これらの多くは特別番組としてとりあげられたり、『ズームイン!朝!!』などで全国に発信された。1998(平成10)年7月、『マガジンもぎたてテレビ』が編集発行され、制作番組が雑誌広告という新しい収入源を拓いたことも収穫の一つにあげられる。初号1万7,000部はほとんど即日完売、その後、定期的に刊行されるようになり、発売部数は5万部にも上る。県下の書店での永江、野志アナウンサーによるサイン会も引っ張りだこの人気だ。番組コンクールにおける評価も高い。『夫婦の食卓物語』は1998(平成10)年度民放連盟賞娯楽部門で優秀賞、『秋を探して~重信町上林の旅』は2003(平成15)年「地域を語ろう!全国フォーラムin 横浜」でNHK、民放から参加した65作品の中から優秀番組賞に選ばれた。永江、野志アナウンサーの巧みなインタビュー、リポートと親しみやすい人柄が番組の原動力となっている。緻密な番組構成も推進力だ。それらがエネルギー源となって倦むことなく地域のふだんの暮らしや文化を伝える。その小さな旅がいまもなお続いている。184第4章 ローカルワイドの時代「マガジンもぎたて」発刊

元のページ  ../index.html#205

このブックを見る