南海放送50年史
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作フロアとのあいだに防音用のガラスがなく、緊急ニュースはただちに突っ込める。ニュース送り出しの調整卓は松下電器が開発した最新式のワンタッチスイッチャー方式を採用した。メインカメラは調整卓から自動操作でキャスターを追う。『なんかいNEWS530』の場合は技術部員がついた手動カメラを併用するが、短い定時ニュースは夜勤の報道部員一人でも送りだしができるようになった。また、報道制作フロアには個室に分かれたVTR編集室が並び、ニュース素材の編集が格段にスピードアップした。新館で特に異色だったのはテレビスタジオ(コアスタジオ)だった。パティオに面した通路側はガラス張りにした。番組収録時には遮光に難点があるため技術サイドの反対があったが、パティオもスタジオ部分に広げられる利点がある。床もリノリュウムで張り、株主総会や研修会などに利用できる多目的ホールの機能をもたせた。新館建設にあわせて本館の大規模な改修工事も進められた。ラジオ生放送用のオープンスタジオ(第5スタジオ)を2階から1階玄関ロビーの広いスペースに移し、その跡にテレビマスターを新設、元の報道制作フロアにはテレビ副調整室、VTR編集室、ゆったりした空間を持つ喫茶室・談話室が設けられた。本館と新館は2階の廊下で結ばれた。新館建設、本館改修工事は1987(昭和62)年10月着工、放送を続けながらの設備の移設などに予期せぬ苦労を伴ったが、翌年9月末にはすべての作業を終了、創立35周年を迎えた10月3日には来賓450人を招き、盛大にお披露目が行われた。新館建設から本館改修工事にまで拡大したため、総工費は約8億5千万円にのぼったが、ローカル民放としての面目を一新して地域№1の報道活動へ前進することになった。160第4章 ローカルワイドの時代玄関中庭のベンジャミンニューススタジオニュースデスク

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