1983(昭和58)年10月3日、創立30周年の記念式典が行われた。このなかで、門田社長は30年の節目に当たり次のように述べている。「営業の伸びは2%に対し経費の伸びが6%という事態は、私たちがこれまで高度成長に甘え、華やかに伸展してきた放送業界に対する甘えの気持ちを、早く清算しなければならない時期にさしかかってきたことを示すものと思います」と語り、30年の節目を成長・成熟期を経た大きな峠ととらえている。またニューメディアについて次のように述べている。「ニューメディア問題を考える場合、忘れてならないことはとかく議論がハード問題、新しい情報伝達手段に片寄りがちで、新しいメディアをどう使って、どういう情報を送るのかというソフトの問題については議論が非常に遅れているということであります。私たちの役割は、そのソフト面をどのようにして開拓し、ニューメディア時代において、どういう情報を提供していくかということにあります」と語っている。新しい報道情報番組の開発については、次のように述べている。「新しい情報番組というのは、従来のニュースだけでなく、生活・教養さらには健康に関連し、市民生活のために欠くことのできないあらゆる情報を含んだ番組であり、そういった情報番組を開発してゆく必要性について問題を提起しているわけです。この新しい情報番組を一つの基盤に、ニュースセンター構想の推進とあわせて、将来の情報化社会への基礎を築いてゆこうというのが、そのねらいであります」。この方針に沿って関係部局で検討した結果、翌年、1984(昭和59)年4月からテレビ番組『情報センター ザ・スケッチ』の放送が開始された。創立30周年記念式典144第3章 総合文化産業への出発創立30周年記念式典
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