南海放送50年史
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この番組は、南予地域における養殖漁業のありかたに警告を発したものである。生産量が急増、過密生産のために海が汚染された。魚に寄生虫が発生しており、禁止されている水銀系防腐剤が漁網に塗布されている事実を伝えたものであった。翌年の『NNNドキュメント’84・シリーズ食糧』は、自給率が40%を割った日本の食糧問題を5週にわたってとりあげた。日本テレビ、札幌テレビ、南海放送の3社に放送作家鳥山拡氏を加えたNNN特別取材班が編成され、南海放送は制作部員薦田高士が参加した。第3回(2月5日放送)の「小麦も危ない?奇形ザルは警告する」、第4回(2月12日放送)の「ポリニョーを知っていますか」を制作した。輸入食糧の安全性、輸入小麦の残留農薬に対する厚生省の対応の遅れを追求した「小麦も危ない?奇形ザルは警告する」はおむつをした奇形ザルの強烈な映像が全国に大きな反響を呼んだ。この秋、スペインで開かれた第1回セビリア国際ニュースフェスティバルで特別賞を受賞した。「ポリニョーを知っていますか」は、輸入自由化反対の農民デモで死亡したベルギー農民の姿を描き、食糧自給率を驚異的に伸ばしたECの農業政策を取材検証した。この番組もまた、民間放送連盟賞優秀賞を受賞。特別取材班は共同執筆による『日本の食糧が危ない』、『日本の食糧が消える』(ともにMG出版)を刊行した。2年後の『NNNドキュメント’86』は食糧シリーズ・パートⅡとして1月12日に「続・奇形ザルは警告する」(担当・薦田高士)を放送した。アメリカで発がん性の疑いがもたれているのと同じ農薬が日本の早生りんご栽培に使用されている実態をあきらかにしたもので、消費者、生産農家、市場関係者に大きな衝撃を与えた。この番組も民間放送連盟賞優秀賞を受賞した。137第3節 転換期の時代と放送『奇形ザルは警告する』淡路島モンキーセンターの餌付けザルおむつをした奇形のサル「コータ」

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