南海放送50年史
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ーフ登頂記録)など、全国に放送されたテレビドキュメンタリーの構成、日米非戦論を唱えた反骨の海軍軍人水野広徳の再評価、「菜の花忌シンポジウム」その他、南海放送と組んだ仕事は数多い。この年(1978年)にはまた、創立25周年記念番組として異色のラジオ番組が2本制作され、共に連盟賞を受賞した。その一つは、ラジオドラマ『行乞の詩・どうしようもない私』である。自由律の俳人種田山頭火の放浪の生涯を描いたもので、放送部のディレクター吉村斌が企画を温めていた。脚本は長坂秀佳氏に依頼した。主人公の山頭火には制作部のテレビディレクター弘岡寧彦が起用され、山口、熊本、広島、松山と行乞と句作の旅を体験収録したドラマ。語りの小沢昭一のほかは、旅先でであった縄のれんの親父さん、たばこ屋のおばさん、行きずりの学生などの役には聴取者を起用、市民参加の形をとった。番組の主要な要素となる音楽は、池辺晋一郎氏による。6月4日夜10時から60分番組として放送され、構成・演出とも高く評価された。もう一つのラジオ番組『裏道渡世~暴力団の論理』は、前年9月に始まった組織暴力追放キャンペーン活動から生まれた。暴力団の反社会的な行動はなぜかをつきつめることで、暴力団根絶の手掛かりが得られるのではないかというところから企画がスタートした。放送部の曽我泰朗、報道部の薦田高士、大西紀洋がチームを組んだ取材班が暴力団組長との接触に成功し、生の声を克明に録音した。その言い分の矛盾を、鳥山拡氏が60分番組に構成した。6月4日午後3時から放送された番組の手ごたえラジオ番組の新鉱脈120第3章 総合文化産業への出発山頭火に扮して行脚した弘岡寧彦

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