テレビドラマ『わが兄はホトトギス』が芸術祭優秀賞、民放連盟賞優秀賞を合わせて受賞したのをはじめ、民教協番組『チェンバロを弾く少年』の主人公・武久源造君のその後の成長を追ったテレビドキュメンタリー『父の歌が聞こえる』、放浪の俳人種田山頭火の生きざまを描くラジオドラマ『行乞の詩・どうしようもない私』、ラジオ録音構成『裏道渡世~暴力団の論理』、『ラジオスポット~美しいふれあい』のいずれもが民放連盟賞優秀賞、ギャラクシー賞選奨など高い評価を受けることになった。一方、営業面でもローカル番組の制作活動をバックアップし、積極的な販売促進活動とあわせて営業目標を達成した。この時期、営業の企画提案によく使われた言葉に“マーケティング”がある。本町会館で開催した「RNBマーケティングセミナー」では、クライアントを対象にイベントプロデューサー小谷正一氏、評論家草柳大蔵氏などを講師に迎え、消費者ニーズの発見、市場開拓の手法について話していただいたがいずれも好評であった。日本テレビ創立記念事業としての全国巡演を主催した「池内淳子記念公演」では企画営業を織り込み、昼夜満員の盛況であった。このような創立25周年記念事業への積極的な取り組みは、全社一体の新たな活力を生むものとなった。油紙の中から数束の古びた原稿用紙があらわれた。万年筆の書きなれた文字が走っている。「前編・剣を吊るまで」と題した原稿には幼くして父母に死別し、貧しい境遇の中で海軍士官となるまでの生い立ちが漢文調を混じえながら、のびのびとした平明な文章で叙述されている。筆者は松山市出身の水野広徳(1875~1945)。日露戦争の帰趨を決した日本海海戦の壮絶なドキュメント『此一戦』(1911年刊行)の著者として、世界的な名声を博した人物である。「反骨の軍人・水野広徳」115第2節 創立25周年RNBマーケティングセミナー・草柳大蔵氏水野 広徳
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