南海放送60年史
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41[社史 第2部] 第2章 デジタルコンテンツのマルチユース青島中継局の共建  県内のデジタル中継局の開設は、総務省のロードマップに掲載された期日に沿って進められた。2010年12月に、土居中継局と大洲野佐来・宇和正信・久万菅生・大三島野々江のミニサテ局合わせて5局を開局し、予定された中継局全ての整備を終えた。 その後、県内各地において数々の難視聴対策が進められた。伊予市~長浜町(現大洲市)にかけての海岸線沿いは、距離が長い上に入り組んだ谷間に集落が点在しており、ケーブル化や共聴など受信対策では膨大な対策費用が必要という試算結果となった。そのため、四国総合通信局から送信対策を行えないかと打診があり、放送事業者やデジサポなどで組織する愛媛地上デジタル放送推進協議会の作業部会で送信対策を検討することとなった。電波シミュレーションをもとに、放送ネットワークやエリアカバー率を考慮した結果、長浜町の沖合13キロの伊予灘に位置する青島が候補に挙がった。しかし、青島へ渡るには1日2便の定期船(給水船)しかなく、冬期は海が時化るため定期船が欠航する日が多いと聞かされた。送信担当者が懸念したのが陸続きでないことであり、機器故障や停電等の事故が発生している際に渡れないと停波事故が長時間(長期間)に及ぶことを最も危惧した。 四国総合通信局や該当自治体である伊予市・大洲市と協議を重ねた結果、渡れないリスクはあるが難視聴対策効率が良いことから、青島中継局を置局することとなった。建設にあたっては、民放4社とNHKが共同で建設することになり、当社が幹事社となって伊予市・大洲市との折衝や建設業者の入札に至るまで窓口役を務めた。局舎・鉄塔・電源設備・放送機器など約1億4千万円の整備費用は国費や自治体からの補助金により全額負担された。工事は建設資材や重機を台船で運び、島内に仮設された索道で現地まで運搬するなど難航した。コンクリートは港に係留された台船の上で練り、高圧ホースで島の中腹にある小学校跡地の建設現場まで送り上げ青島中継局(中央奥の鉄塔)カバーエリア

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