南海放送60年史
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14第4節 ラジオの第1回日本放送文化大賞『ソローキンの見た桜』に第1回日本放送文化大賞 グランプリ  日本民間放送連盟は、会員各社において、質の高い番組がより多く制作・放送されることを促すため、2005年から「日本放送文化大賞」を制定した。 11月2日に開かれた第53回民間放送全国大会で発表が行われ、南海放送制作のラジオドラマ『~松山ロシア人捕虜収容所外伝~ソローキンの見た桜』が第1回日本放送文化大賞ラジオ部門グランプリを受賞した。 このラジオドラマは、日露戦争開戦と同時に松山に開設されたロシア兵捕虜収容所を舞台に繰り広げられた松山人とロシア兵たちとの友情とロマンスを軸にして、実際に起こった「ミルスキー中尉逃亡事件」に隠された謎を推理するフィクション構成である。日露戦争開戦100年の節目にあたる2004年5月に放送した。 ドラマの脚本・構成・プロデューサーを務めた田中和彦ラジオセンター統括部長(当時)は語る。「グランプリ受賞はたくさんの人の力が集約された結果。若き日の才神時雄さんと南海放送の土居俊夫会長(当時)の関係がなければ、青山淳平さんと番組を作ることにはならなかった。監修をお願いした宮脇昇さんの存在があったことで、明治時代の松山を隅から隅まで知っているつもりで台本が出来上がった」 才神さんは『松山収容所―捕虜と日本人』(1969年岩波新書)を著した松山在住の作家である。ラジオディレクターであった土居は、1963年4月放送のラジオ番組『トロッコの目』で初めて才神さんを取材リポーターとして起用した。二人の交流は、才神さんの最晩年まで続いた。第4節 ラジオの第1回日本放送文化大賞表彰式で挨拶する田中和彦ラジオセンター統括部長(当時)

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