南海放送60年史
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94第5節 新放送法の施行と再免許議論が活発に行われた。一方で、放送法を改正し、放送番組を規制しようという動きもあった。 放送法改正の動きは、もともと自民党政権下から始まった。2007年1月に全国放送された情報番組『発掘!あるある大事典II』(関西テレビ制作)に、捏造があったことが発覚するなど、民放番組で不適切な表現が相次いだことから、総務省は放送法に規制強化策を盛り込もうという動きを見せた。 これに対して、2007年5月12日、NHKと日本民間放送連盟が設置した第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)を立ち上げた。虚偽放送に対処する権限を持つ「放送倫理検証委員会」が、問題があると指摘された番組について、取材・制作のあり方や番組内容について調査、放送倫理上の問題の有無を審議・審理して、その結果を公表することになった。放送界の自浄機能を確立し、視聴者に信頼される放送を維持するとともに、表現の自由を守ることを目的としている。 新放送法が成立、施行  2010年11月26日に、政府が国会に提出していた放送法改正案が、一部修正の上、参院本会議で可決・成立した。通信・放送の法体系を60年ぶりに見直し、放送関連4法を統合した。マスメディア集中排除原則を省令から格上げして盛り込み、複数の放送事業者への出資比率を「10分の1以上3分の1未満の範囲内」と幅を持たせた。 既存の放送法を中核として、ケーブルテレビを対象とした有線テレビジョン放送法、ラジオを対象とした有線ラジオ放送法、IPTVなどパソコン経由の不特定多数向けの情報配信を対象とした電気通信役務利用放送法を一本化した。 新たな放送法制として、放送を「基幹放送」と「一般放送」に分け、前者は地上テレビ、BS、110度CS、AM、FM、短波を指し、後者にはそれ以外のCS、ケーブルテレビや有線ラジオが含まれるとした。基幹放送で無線局の設置・運用(ハード)と放送の業務(ソフト)の分離制度を導入した。法律上は、

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