南海放送50年史
59/358

自社制作番組は、毎週4本を手探りで作ってきた。もちろんキー局からは、演出面で指導者の派遣を申し出てくれたが、自分たちの手でやってみようというのが、番組スタッフの意向であった。テレビ開局1周年に当たり、記念事業として企画したコンサートをラジオで中継したり、テレビでは特別番組として映画を放送するなど華やかなプログラムを組んだ。なかでも自社制作の特別番組として取り組んだのが、テレビ結婚式『結婚おめでとう』である。担当の細田新制作課長には別の腹案もあったが、営業の田中覚課長がテレビ結婚式を提案してきた。「どうせ金のかかることをやるなら、この方がスポンサーをつけやすい」という進言であった。結局12月1日午後1時15分から30分番組、スタジオでの『結婚おめでとう』の企画が採用になった。82平方メートルのスタジオに25人の列席者をいれ、結婚式場、花嫁のお色直しのスペース、生コマーシャルのセットなどを組んだため、スタジオは所狭しとなった。大理石に擬した4本の柱の裏側に花嫁のお色直しのスペースを取り、列席者が花婿、花嫁を囲むようにコの字型になるセットを作った。また出演者探しにも苦労があり、結婚相談所のお世話にもなった。本番10日前になって稲田義男さんと大野宏美さんのカップルを見つけ出演してもらうことになった。細田課長はプランを何度も練り直し、番組をメンデルスゾーンの「結婚行進曲」でスタートさせた。披露宴では山中南海放送社長と新郎新婦の上司石水帝人勤労課長の祝辞、お色直しへと続いた。花柳優十郎さんの踊り、清元「清海波」、川柳作家前田伍健氏からはご祝儀川柳「幸せが二人の肩へうれしい日」が贈られ、厳粛なうちにも華やいだ結婚式となった。関係者からも大変喜ばれ、無事テレビ開局1周年の記念番組を放送することができた。ご夫婦は、今も健在で松山市に住んでおり、ご主人はタクシー会社を経営している。テレビ開局1周年「テレビ結婚式」38第1章 草創期の南海放送テレビ結婚式『結婚おめでとう』『結婚おめでとう』万歳三唱

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る