南海放送50年史
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などによって制限されてきた。放送局の開設基準に「放送することができる機会をできるだけ多くの者に対して確保することによって、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享受されることを保障する」と規定されている。マスメディア集中排除が放送法の原則であり、基本精神ともいえた。しかし、地上波テレビのデジタル化を円滑に進めるため、総務省の諮問機関「放送政策研究会」が、2000(平成12)年5月からマスメディア集中排除原則の緩和の方法等について研究をはじめた。そして2003(平成15)年2月に研究会が最終報告書をまとめた。デジタル化投資によって経営基盤が弱くなるローカル局に対する隣接局の支援方法などを含んだ報告書に基づいて、総務省はマスメディア集中排除原則の緩和措置を2004(平成16)年3月30日から実施した。業界再編の第一歩である。2003(平成15)年10月28日に東京で民放経営研究会が開催された。「デジタル化問題の総合的解決策をさぐる」をテーマにパネル討論が行われ、南海放送の松友勝俊社長がパネリストとして出席した。そして、マスメディア集中排除原則の緩和について次のように意見を述べた。「総務省が集中排除原則を緩和する意図を読み取る必要がある。現在、市町村の合併が各県で進められているが、最終的には道州制に広げていく意図が見え隠れしている。その行政改革にマスメディア集中排除原則の見直しが絡んでいるのではないか。現在、確立されている地上放送のネットワークのあり方も、集中排除原則が緩和されると、かなり変化するのではないか。キー局と系列局の間に人口200万人以上をエリアとする局を基幹局として配置しようとしており、ネットワークが複雑化することも考えられる。経営基盤の弱い末端の地方局は基幹局の子会社化、支社・291第2節 新時代への挑戦

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