南海放送50年史
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245第3節 文化遺産の継承1995(平成7)年、南海放送創立40周年の記念事業として雄山閣から『水野広徳著作集』全8巻が一挙に刊行された。わが社はすでに1977年9月に水野広徳の自伝「剣を吊るまで」、「剣を解くまで」の草稿を『反骨の軍人水野広徳』と題して上梓し、埋もれていた思想家の再発掘として全国的な話題を呼んだ。新たに編集した著作集は、大胆な軍部批判論文として大きな反響を呼んだ「新国防方針の解剖」ほか散逸していた論文その他、発禁処分をうけた日米架空戦記『興亡の此一戦』などを博捜したものである。立教大学教授粟屋憲太郎、静岡県立大学教授前坂俊之、南海放送副社長大内信也の三氏の手で丹念に編集され、軍閥横行の時代に反骨をつらぬいた元軍人の思想と生涯を網羅する画期的な出版となった。著作集の刊行にちなみテレビ特別番組「心は曲げじ。水野広徳反戦にささげた生涯」(作家早坂暁、静岡県立大学教授前坂俊之、南海放送会長門田圭三・55分)が制作放送された。この番組は、軍部による統帥権の掌握が日本を破滅に導いた過程をふりかえり、再三にわたる言論封殺に屈しなかった水野広徳の卓抜な先見力が語り合われた。本著作集は第11回愛媛出版文化賞の特別賞を受賞した。1996(平成8)年1月、南海放送の新年テレビ特別番組として放送された『萬翠荘物語』(55分)が話題を呼んだ。「もうひとつの坂の上の雲」『水野広徳著作集』の刊行第3節文化遺産の継承水野広徳著作集・全8巻

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