南海放送50年史
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ナイター巨人-広島戦の画面に「福井署が福田和子容疑者の身柄を確保した模様」をスーパーテロップで速報、スクープとなった。19時21分、スーパーの内容を「確保した模様」から「確保しました」に変える。ラジオもナイター中継の中に速報を挿入していった。福田和子容疑者は事件後、捜査の手が身辺に回ったことを感知して逃亡。金沢、名古屋、福井に潜伏していた。愛媛県警は、時効まで残り1年となった1996(平成8)年8月19日に、県警察協会の協力で、日本の犯罪捜査上、初めての懸賞金を設け、市民に協力を呼びかけた。捜査網を巧みにくぐり抜ける福田和子容疑者の逃亡ぶりは、マスコミで頻繁に取り上げられたが、29日の逮捕は、テレビを見た市民の通報がきっかけとなった。この夜、報道部は万全の速報体制をとった。テレビでは19時33分、ナイター中継に最初のカットイン、3分55秒のニュースの中で逮捕を伝えた。その後、5回目のカットインでは松山東署の桝岡署長の記者会見を中継した。スタジオに事件発生当時の県警刑事部長土居久司氏を招き、『テレビじゃん!!』の後半24時21分から25時12分までを報道特番にあてた。ラジオも速報を流すとともに、20時37分から10分間、ナイター中継をカットして1回目の特番を編成、桝岡松山東署長の会見に合わせて、21時28分から30分の特番を組んだ。報道、テレビ、ラジオ、技術スタッフの決断と連携は素早かった。東京支社を含めた編成、営業部門のバックアップもあった。次々飛び込む新しい情報、VTRや中継で紹介される市民の表情を手際よく織り交ぜた手法には、取材の蓄積が活かされていた。平素培った報道の総合力が発揮され、速報、内容とも他社をリードすることになった。224第5章 民放4局化時代福田容疑者逮捕のニュース速報福田容疑者の身柄移送福田容疑者の身柄、松山東署に入る

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