南海放送50年史
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いう悲劇を招いた。事実を否定してきたTBSは謝罪し、磯崎社長は責任を取って辞任した。郵政省からはNHK、民放連に対し、多チャンネル時代を迎え、放送による人権侵害に留意し放送番組の適正化、放送倫理水準の向上について取り組みを充実してほしいとの要請があった。これを受けてNHKと民放連は1996(平成8)年9月19日、「放送倫理基本綱領」を制定したのに続き、自主的な苦情対応機関としての「放送と人権等権利に関する委員会機構」(BRO)を設立した。放送番組によって名誉、人権が侵害されたとして放送局に訂正と謝罪を申し込んだが話し合いがつかない場合、BROは苦情申立人と放送局の双方から事情を聴取し、番組テープなどの資料提出を求める。放送に不公正があると判断されると、放送局に対して訂正放送を求めるなどの「勧告」または「見解」が公表される。「放送倫理基本綱領」には、①意見の分かれている問題をとりあつかう場合、放送はできる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を維持する。②放送人は放送に対する視聴者の信頼を得るために、何者にも侵されない自主的・自立的な姿勢を堅持し、取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる。③民間放送は広告の内容が真実を伝え、視聴者に役立つものであるよう細心の注意を払うことが、視聴者に対する重要な責務であること。などがあらためて確認された。わが社もまた、「放送倫理基本綱領」をうけて放送現場の中堅社員による「放送ガイド委員会」を設置し、社外からの講師を招いて研修会を開くなど検討を重ねた結果、南海放送「放送ガイドブック」(1997年12月・60ページ)を編集、社内に配布した。多チャンネル時代における放送の役割は、公平公正という基本理念にあることを明示し、多数の人権侵害事例や差別的216第5章 民放4局化時代「放送ガイドブック」

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